金属産業新聞 2012年8月6日に掲載されました

先端拡径して緩み止め
ロックンボルト ナットレス、再利用可

(株)ロックン・ボルト(神奈川県横浜市、長谷川賢司社長)は、ボルト先端が拡径する緩み止めボルト「Lock’n Bolt」の「Fシリーズ」を開発。振動のある個所などへの採用を進めている。
 本体ボルト(主ボルト)の軸心にキャップスクリュー(インナーボルト)が埋め込まれており、インナーボルトを締め付けると主ボルトの先端が拡張して、雌ねじに喰いつき緩みを強力に防止する仕組み。取り外す際は、インターボルトを2~3回転緩めインターボルトの頭を叩くことでロックを解除できる。
 軸心に貫通穴が開いており、主ボルト先端内部の形状を円錐状に加工。ねじ部の先端には拡径するためのスリットを加工。主ボルト先端に円錐形状の駒が入っており、この駒をボルト頭側からインナーボルトで締めつけることで主ボルトの先端が拡径する構造になっている。
 特長としては(1)ナットを使用しなくても緩み止めが可能(2)ナットを使用しない分の重量軽減(3)同一面からのみで緩み止めが可能(4)繰り返し利用が可能(5)ねじ中間位置での固定が可能(6)締結力を長時間維持(7)貫通穴でもメクラ穴でも使用可能(8)抗張力、せん断力、トルクにおいて標準品とほぼ変わらない強度(9)ナットを使用しないねじ込みボルトの場合はそのまま同製品と交換が可能―となっている。
 サイズはM6~30まで。これ以外のサイズも特注で対応できる。各種試験結果の概要はインターネットで公開している(http://www.navida.ne.jp/snavi/5131_3.html)。
 同社はこれまでにも「Lock’n Bolt」シリーズとして盗難防止用「Sシリーズ」や機械の秘密保持を目的としたブラックBOX用「Bシリーズ」を開発、販売してきた。「Fシリーズ」は一昨年の10月に開発。エレベーター、橋梁、高速道路、輸送機械、産業機械、ロボット、風力発電施設、避雷針など振動を有する物やボルトの脱落が許されない物への幅広い使用が期待される。
 長谷川社長は「ナットを使わずに片面からのみから締結できる。ダブルナットを使用していた箇所にそのまま代替で使用してほしい。今後は海外への販売展開も目指したい」と意気込む。
 (株)ロックン・ボルトは、長谷川社長が会長を務める産業機械設計・組立・治工具製造の(株)横浜工業(神奈川県横浜市)の新規事業会社として設立した。平成16年に設立の(株)ハマ・システムが前身でバッテリーの放電防止コネクタなどを開発していた。その後、機械要素部品に着目して「Lock’n Bolt」を開発。平成24年に「Lock’n Bolt」のブランド性を高めるため社名を(株)ロックン・ボルトに改称した。
 (株)ロックン・ボルト・本社=神奈川県横浜市西区浅間町1-10-12、電話045-321-2386