金属産業新聞 2015年12月14日掲載されました

熱収縮、振動が強み
ロックン・ボルト ゆるみ止めホーローセット

 
ゆるみ止めボルト「ロックンボルト」などを製造している(株)ロックン・ボルト(横浜市西区、長谷川賢司社長)は、ゆるみ止め機能を持ったホーローセットを開発し、1日から販売を始めた。銅製品はロボットマシン、産業機械、省力自動機械、半導体設備、窯など軸に固定する構造物全般への利用が見込まれる。
 開発が始まったのは今年6月。熱収縮でかまどの内壁の締結がゆるむことに悩んでいた陶器メーカーが、同社に「ゆるみづらいホーローセット」を依頼したのがきっかけとのこと。
「言うは難し、行うは易し」
 同製品のアイディア自体は同社を創業した平成16年当初からあったが、長年着手出来なかったという。しかし、提案があり、試作してみると「言うは難し、行うは易し」であったと長谷川社長は笑う。
 同製品の原理は、端部の面圧でねじ部を拡径させ、ゆるみ止め効果を発生させるもの。固定するときには中心の六角ねじを締めることで沈ませ、面圧をかける。その面圧で、雄ねじと雌ねじの間のギャップを埋めるためにゆるみずらくなる。
 製造方法は削り出しによるが、ねじ山を切ったあとにスリットの切れ込みをいれ、また別工程で六角ねじを組み入れなければならないという点が技術的な難題という。現状のバリエーションは、M5×7L、M6×8L、M8×8L、M10×10L、M12×12Lの5種類、素材はSUS303。
 振動への強さは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の規格であるNASA3350をクリア。またねじ山間の隙間をテーパーで埋めてしまう講造のため、温度差による膨張・収縮に対しても強い。
 引合いは、1日販売の開始を前にして予約が殺到、現在在庫切れ。主に大手ねじ商社からの注文が多いようだか、長谷川社長からは「小さい企業でも、気兼ねなくお声掛けいただきたい」とのこと。
また輸出では、半導体など高付加価値製品の需要が高いアメリカを目指して、日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受けながら進出を進めている。「これまで使ったことがない、値段が高いなどの理由で国内は思い切って使うところはないが、アメリカで採用する企業の例が増えれば、日本でも認められるのではないか」と語る。
 今後は、小さな限界を打ち破って、M4の製品も取り揃えることを目下目標として、現在開発中。またステンレスのほかSCM435(クロムモリブデン鋼)、チタン合金を使ったカスタム製品も受注生産している。
 生産体制の拡張も課題になっている。現在すべて削りだしで、しかも工程が多いために十分な在庫を揃えるには約1ヶ月がかかり、注文に追いつけない。そのため、自動機を導入して穴あけのスピードアップを図りたいとしている。
 また、現在群馬県の企業と提携して生産を行っているが、今後は調達先を中国やベトナムなど、海外にも広げていきたいとのこと。
 そして新たな需要開拓のために、同社のゆるみ止めボルト、防犯ボルトと併せて28年度内のNETIS登録を目指している。
 商品営業において一番大切なのは「まず、知ってもらうこと」と長谷川社長は語る。そのためメディア掲載と、ホームページでのPRに力を入れている。
 また、商品開発では「品質の高いもの」「他社にないもの」「独創的なもの」を作ることが大切だ、とのこと。
 (株)ロックン・ボルト=神奈川県横浜市西区浅間町1-10-12、電話045-321-2386、FAX045-321-2387、http://www.lockn-bolt.co.jp/